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「粉体流動性を"瞬間ジェット"で測る! 湿度影響を高感度に検出する新評価法」― 従来困難だった小試料・高速計測を実現 ―

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カテゴリ:プレスリリース|2025年10月31日掲載


東京都立大学/日本工業大学/名古屋工業大学

ポイント

1.    粉体層に短い衝撃を与えて生じるジェットの高さ・速度から、湿度による付着力の変化を高感度に検出しました。
2.    試料量は約12 mL(数グラム)で済み、既存の粉体レオメーターや静止角法よりも迅速・簡便・再現性が高い評価を実現しました。
3.    ジェット高さが80%を超える湿度で急減するなど、湿度による粉体の流動性を即座に定量化しました。
4.    微量試料での高精度測定が可能なため、材料開発や品質管理の新たなツールとして活用が期待されます。

概要

日本工業大学基幹工学部・小林和也助教、神保孔明(機械工学科2025年3月卒業)、名古屋工業大学電気・機械工学類・武藤真和助教、東京都立大学大学院理学研究科・栗田玲教授らの研究グループは、湿度に応じて変化する粉体の流動性を、わずか数グラム・数ミリ秒で定量評価できる新手法を開発しました。本研究では、粉体表面に短い衝撃を与え、その瞬間に立ち上がる「粉体ジェット」(注1)の高さと速度を解析することで、粒子間の付着力や凝集の程度を高感度に検出できることを示しました。

従来の粉体レオメーターや静止角法などでは、数百グラム規模の試料や複雑な装置を必要とし、湿度による変化をその場で測定することは困難でした。今回の手法では、約12 mLの試料量で実験が可能で、湿度によるわずかな付着力の変化も、ジェットの高さ・形状から直感的かつ定量的に捉えられます。また、得られた結果は粒子径や湿度に応じた粉体の凝集挙動を精密に反映しており、製薬・電池・食品など湿度に敏感な粉体プロセスの品質管理や設計指針として活用できることが期待されます。本研究は、粉体工学における「簡便・迅速・高感度」な評価技術として、新たな産業応用への展開を拓くものです。

■本研究成果は、10月24日付けでElsevierが発行する英文誌Materials & Designに発表されました。本研究の一部は、日本学術振興会科学研究費補助金(JP24K17024)の支援を受けて行われました。

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図1 装置図。粉体に凹面形状の穴を形成し、自由落下によって下から衝撃を与える装置。衝撃によって凹面形状の中心から粉体ジェットが形成され、上に向かって飛んでいく。

▶詳細(プレスリリース本文)はこちら

発表論文

タイトル:"Humidity-Responsive Jetting for Flowability Assessment of Fine Powders"
著者名:Kazuya U. Kobayashi, Komei Jinbo, Masakazu Muto, Rei Kurita
掲載誌:Materials & Design (2025).
URL:https:// doi.org/10.1016/j.matdes.2025.114951
DOI:10.1016/j.matdes.2025.114951

用語解説

(注1) 粉体ジェット:凹面形状を砂が滑り落ち中心でぶつかることで、上部にジェット状に飛び出す現象。

お問い合わせ先

研究に関すること

東京都立大学 理学研究科 教授 栗田玲
TEL:042-677-2505 E-mail:kurita[at]tmu.ac.jp

日本工業大学 基幹工学部 助教 小林和也
TEL:0480-33-7619  E-mail: kobayashi.kazuya[at]nit.ac.jp

名古屋工業大学 電気・機械工学類 助教 武藤真和
TEL:052-735-5182 E-mail:muto.masakazu[at]nitech.ac.jp

広報に関すること

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