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致死率60%超の感染症を引き起こす真菌に有効な物質を開発 ― 既存薬とは異なる新たな抗真菌薬を目指して ―

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カテゴリ:プレスリリース|2026年10月16日掲載


ポイント

●   真菌の細胞膜を破壊する新しい物質を発見
● 細菌の細胞膜を障害する両親媒性(*1)シクロデキストリン(*2)誘導体の探索に成功した、中分子ケミカルスペースを活用して探索
● 細胞膜を障害する官能基を細かく調整することで、赤血球を破壊せずに高い抗真菌性を示す物質を発見

概要

名古屋工業大学生命・応用化学類の宮川淳准教授、山村初雄教授、山本靖准教授は、就実大学薬学部の加藤久登講師、増田和文教授、神戸常盤大学保健科学部の大澤佳代教授らと共同で、新しい抗真菌性物質を開発しました。

本研究では、真菌細胞膜に作用してこれを障害し、殺菌的な抗真菌性を示す物質の創製を目的としました。その物質の探索には、化学合成によって系統的に構造を変化させた、両親媒性構造を持つオリゴ糖シクロデキストリン誘導体からなる中分子ケミカルスペースを用いました。このケミカルスペースは、細菌細胞膜を障害する両親媒性誘導体の探索に成功した実績があります。今回、このケミカルスペースを、真菌に作用する物質の探索に活用することで、真菌選択的で優れた抗真菌性を示す物質を見つけ出すことに成功しました。

本研究で見いだした物質は、これまでとは異なる仕組みで作用する新しい抗真菌薬の開発につながる可能性があります。また、今回の成果は、シクロデキストリン誘導体から成る中分子ケミカルスペース(*3)の創薬における有用性を示すものであり、今後、様々な応用が期待されます。

本研究成果は、学術誌RSC Advancesに2026年7月20日付でオンライン掲載されました。

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図1 両親媒性シクロデキストリンとその真菌に対する作用メカニズム


▶詳細(プレスリリース本文)はこちら

用語解説

(*1)両親媒性
水になじみやすい部分と、水になじみにくい部分の両方を持つ性質です。本研究では、この性質を持つシクロデキストリン誘導体が、真菌の細胞膜と相互作用することに着目しています。

(*2)シクロデキストリン
数分子のグルコースが環状に結合したオリゴ糖です。環状の構造の中に臭いのもとになる分子を閉じ込める性質が有名で、P&G社の「ファブリーズ」などに使用されています。

(*3)中分子ケミカルスペース
中分子は分子量が500から3000程度の化合物で低分子と高分子の長所を兼ね備えるとして医薬品開発において注目されています。その開発の基盤となる分子を揃えたのが中分子ケミカルスペースです。

論文情報

掲載誌:RSC Advances, 2026 16, 41886-41894
タイトル:Multivalent Amphiphilic Cyclodextrins for Selective Membrane Disruption with Potent Antifungal Activity
著者名:Atsushi Miyagawa, Satoru Nakagawa, Tatsuya Hagiwara, Yasushi Yamamoto, Tsuyoshi Imada, Natsuki Inaba, Hisato Kato, Kazufumi Masuda, Kayo Osawa and Hatsuo Yamamura
掲載日:2026年7月20日
DOI:10.1039/d6ra02945k

お問い合わせ先

<研究に関すること>
名古屋工業大学 生命・応用化学類 
准教授 宮川 淳(研究者詳細)
TEL:052-735-5239  E-mail:miyagawa.atsushi[at]nitech.ac.jp
教授 山村 初雄(研究者詳細)
TEL:052-735-5246  E-mail:yamamura.hatsuo[at]nitech.ac.jp

<広報に関すること>
名古屋工業大学 企画広報課
TEL:052-735-5647  E-mail:pr[at]adm.nitech.ac.jp

*それぞれ[at]を@に置換してください。