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取組紹介 - 糖の機能を解明して、更なる可能性を広げる

カテゴリ:ニュース|2023年11月14日掲載


大学院工学研究科 工学専攻(生命・応用化学領域)宮川淳研究室では、糖の機能を解明し、人を守る分子の研究を行っています。
料理に使われる砂糖に、上白糖や黒糖などがありますが、その主成分はスクロースと呼ばれる同じ構造の甘い糖です。また皆さんが使っているノートの紙はセルロースでできており、レーヨンという繊維もセルロースから作られています。皆さんの身の回りには天然の素材である糖が利用されている物がたくさんあります。さらに人の体の中の糖は、もっとバラエティに富んでおり、人の体を制御して、健康を保つために重要な役割をしていることが分かってきました。図1aは教科書に書かれている細胞の模式図ですが、実際には図1bの〇で示したように細胞の表面は、無数の糖によって覆われており、まさに細胞が糖の衣をまとった糖衣の状態で存在しています。そして、複数の種類の糖の組み合わせによって機能を生み出しています。

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       図1a                        図1b

〈菌類由来の多糖ベータグルカン〉
菌類の細胞壁に含まれるベータグルカンは、ブドウ糖のみで構成される多糖です(図2a)。その中でもキノコ由来のベータグルカンは、人の免疫を活性化する医薬品として利用されていました。しかし、天然由来の多糖は複雑な混合物であるため、その機能を発揮するために必要な分子構造について明らかにされていません。もし、その構造を明らかにできれば、免疫を活性化する物質として、人の健康に役立つものになると考えています。そこで構造が明確なベータグルカンを合成して、その機能の解明や応用研究を行っています。多糖のベータグルカンを合成するために、単糖のブドウ糖を連結する方法を開発し、構造が明確である多糖の一部を合成しました。そして、多糖と同様の高分子量の分子にするため、高分子化した分子に変換しました(図2b)。その分子を用いて、免疫を活性化するために必要な構造を明らかにし、免疫を活性化する人工的なベータグルカンを作り出すことを目指しています。
また、ベータグルカンは細菌の細胞壁であるため、細菌はベータグルカンを自身で分解して成長しています。その分解するために分泌する酵素を検出することで、細菌の存在の有無を調べる分子を作っています。その分子は細菌が分泌する酵素が無いときは図3aのように、酵素が存在して分子が分解されると、図3bのように光るようになります。この変化によって、細菌を検出することができます。
このように、糖は体の中で働いており、細菌やウィルスなどの病原物質とも関りがあります。これらを化学の力を用いて、明らかにしていくことで、人が健康維持に貢献できる研究を進めています。

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図2a

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図2b

 

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       図3a                       図3b

 

国立大学55工学系学部ホームページに本取り組みが掲載されました。
 ▷国立大学55工学系学部ホームページ なんでも探検隊(名工大)

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山村・宮川研究室


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