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取組紹介 - あらゆる産業及び生活に欠かせない混ぜる技術の開発研究

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カテゴリ:ニュース|2025年7月 4日掲載


どんな工場にも1つは撹拌槽が存在します。それは反応を行うタンクであったり、 伝熱を行うためのタンクであったり、生物を培養するためのタンクであったり多種多様です。生命・応用化学類の加藤禎人教授の所属する化学工学研究室は、そのような撹拌・混合槽について総合的に研究する日本でも数少ない伝統あるミキシング技術の研究室です。これまで100社以上、数百人の企業研究者・技術者との議論を重ねて実績を積み、日本でも有数の研究室に成長しました。

考え方の基本となるのは輸送現象の理論です。乱流(粘性の低い液体)では撹拌所要動力が、層流(粘性の高い液体)では流脈パターンが混合のキーポイントであることを見出し、平岡節郎名誉教授、加藤禎人教授、古川陽輝助教と撹拌技術の研究を50年以上続けてきた結果、シンプルで効率の良い撹拌翼の発明に至りました。

どんな素晴らしい物質や薬品が開発されても安価に大量に生産できなければ人間社会に直ちに組み込むことはできません。野球のホームベースから着想したHB翼は実験室の試験管規模の数ミリリットル規模から工場生産の数千リットル規模まで対応できる画期的な撹拌翼です。幾何形状が単純(Simple)で,迅速(Speedy)な混合性能を持ち、流脈が安定(Stable)に撹拌槽内に広がるという3Sの性能を持っています。その性能の良さから、電子材料、シリコーン樹脂、建築用樹脂、そしてみそや酵素などの食品分野にすでに活用されています。

また、ハチミツのような粘っこい液体を撹拌するには複雑な形状で高価な撹拌翼を使用しなければなりませんが、M78星雲から来た某特撮ヒーローから着想した変形合体可能なAM翼は、低コストで生産運転が可能です。この技術は開発されたばかりであり、これからの発展が期待されます。

加藤禎人先生_取組紹介.jpg

また、テレビ番組「世界一受けたい授業」(2010年放映)ではコーヒーとミルクの混ぜ方、「所さんの目がテン」(2024年放映)では抹茶の立て方を解説し、普段の生活にも混ぜる技術は活用されていることを理論立てて紹介しました。最近では、東芝ライフスタイル株式会社様との共同研究により開発した技術が使われた商品も発売されます。

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化学工学研究室

東芝ライフスタイル株式会社/プレスリリース

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