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効率的にCO2を有用化合物に還元できる電極材料を開発-再生可能エネルギー発電と組み合わせCO2削減に期待-

カテゴリ:プレスリリース|2018年02月21日掲載


 名古屋工業大学(猪股智彦准教授、増田秀樹名誉教授ら)と株式会社デンソー(飯島剛氏、山口仁博士、伊藤みほ博士ら)の研究グループは共同研究により、イオン液体と有機分子によって二酸化炭素を低い過電圧(理論的な反応電極電位と実際に反応が起こる際の電極電位との差)で効率的に還元し、ギ酸やメタノールなどの有用化合物に変換可能な電極材料の開発に成功しました。この電極材料は太陽光など再生可能エネルギーの利用と組み合わせることで、より効果的な二酸化炭素の削減技術への応用が期待されます。なお本成果は、アメリカ化学会のACS Catalysis(電子版)に掲載されました(DOI: 10.1021/acscatal.7b03274)。

研究の背景

 二酸化炭素は地球温暖化を引き起こす温室効果ガスの一つであり、国際的にその排出削減に向けた取り組みがなされています。自然界では光合成によって二酸化炭素は糖などの有用化合物に変換されていますが、現在、世界的に二酸化炭素を光や電気エネルギーを利用して有用化合物に変換する研究が行われています。

研究成果

電極材料.jpg 本研究では、本学の研究グループが保有するイオン液体を電極上に付着させる技術と株式会社デンソーの研究グループが取り組んでいた有機分子による二酸化炭素還元反応の促進技術を融合し、新しい電極材料の開発を行いました(右図)。開発した電極の表面には、イオン液体と呼ばれる常温で液体の塩(えん)が付着されており、その間に簡単な有機分子(イミダゾールなど窒素原子を含む芳香族化合物)が固定されています。この電極を用いて二酸化炭素を還元する際に、電極上に付着したイオン液体と有機分子が還元反応を促進し、低い過電圧で二酸化炭素を還元することができます。また生成物として、一酸化炭素やギ酸だけでなく、メタノールの生成にも成功しました。反応させる電位の調整によって生成する化合物を選択できるため、将来的に効率よく二酸化炭素から有用化合物を生み出すための要素技術になると考えられます。また低い過電圧での還元が可能となり還元に必要な電気エネルギーが少量で済むため、太陽光発電などの再生可能エネルギーの利用と組み合わせることで、二酸化炭素削減技術に応用できると考えられます。

お問い合わせ

研究に関すること

名古屋工業大学 大学院生命・応用化学専攻
准教授 猪股智彦
TEL: 052-735-5673 e-mail: tino[at]nitech.ac.jp

広報に関すること

国立大学法人名古屋工業大学
企画広報課 広報室
TEL: 052-735-5316 e-mail: pr[at]adm.nitech.ac.jp

*それぞれ[at]を@に置換してください。


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