メタサーフェス内蔵インテリアパネル「メタッパネ」を発表 ~壁に掛けるだけで、特定方向へWI-FI電波強度がUP!~
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カテゴリ:プレスリリース|2025年2月12日掲載
発表のポイント
〇 電源不要なインテリアパネルを飾るだけで電波強度を向上させることが可能
〇 精密な製造工程を必要とせず、銀インク印刷技術で実現可能
〇 将来的には、機能性インテリアのみではなく、機能性建材としての展開にも期待
概要
名古屋工業大学 電気・機械工学類の若土弘樹准教授、安在大祐准教授らの研究グループは、株式会社GOCCO.(代表取締役:木村亮介)と共同で、室内の電波環境を改善する革新的なインテリアパネル「メタッパネ」を開発しました。「メタッパネ」は、1mm厚の薄型パネルで、株式会社GOCCO.が独自に開発している銀インク印刷技術(注1)を用いたメタサーフェス(注2)を内蔵しています。メタサーフェス技術を活用することで、精密な製造工程を経ることなく、効率的な電波強化を実現しました。また、本技術は、将来的に機能性建築材料の市場にも貢献できると期待されます。

研究の内容・成果

また、第5世代移動通信システム(5G)を想定した28GHz帯ではθi=0°の時30°の設計角度で、θi=10°の時40°の設計角度で電波を吸収せずに反射する金属板に比べて約10dB(10倍)の増幅が観測されました(図2)。

上記の結果と反射角度を任意に設計できるメタサーフェスの特性により、複数の反射角度のメタッパネを組み合わせる事で、任意の場所に強電波ゾーンを作り出す事も可能となります。


一般的な家庭用Wi-fiに対応した5GHzモデルと、5Gに対応した28GHzモデルの2種を展開しています。さらに次世代帯域への適用に向けて開発を進めています。 建物内で電波が届き難い場所の補佐や、無線大容量通信を必要とする場所での電波設計を用途に応じてパネルを貼るという手軽さで実現することが可能になり得ます。
今後の展望
本製品は、表面は自由にビジュアルやグラフィックを表示可能なため、美しさと機能性を兼ね備えたアートパネルとしても活用でき、機能性インテリアの新たなカテゴリー創出につながります。
また、「メタッパネ」のメタサーフェス技術は、建築材料としても展開が可能です。オフィスフロア向けパーテーションや会議室の壁材など、材料の卸売により機能性建材の市場にも貢献できると期待されます。
今後、本研究グループは専用アプリケーションで室内の電波設計を行い、適したメタサーフェスパターンの自動設計、製造までを担うサービスの開発に取り組んでいきます。

本発表の元となる研究成果は、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT(エヌアイシーティー))の委託研究(JPJ012368C06201)により得られたものです。
用語解説
(注1)銀インク印刷技術
微細な複数金属粒子を含有した銀を主とした独自の導電インクを用いた印刷技術。複数の形状粒子と各金属粒子を独自配合したインクでのプリンティングは加工性に優れた印刷技術になります。
(注2)メタサーフェス
「人工的に作られた表面」のことで、 自然界に存在しない反射特性を持っています。 その表面で反射した電磁波の反射位相を制御できます。
お問い合わせ先
研究に関すること
名古屋工業大学 電気・機械工学類
准教授 若土弘樹
TEL:052-732-5504
E-mail:wakatsuchi.hiroki[at]nitech.ac.jp
広報に関すること
名古屋工業大学 企画広報課
TEL: 052-735-5647
E-mail: pr[at]adm.nitech.ac.jp
*それぞれ[at]を@に置換してください。
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